今回は「イノベーション」についてまとめます。マネジメントの父として名高いドラッカー教授も、「企業の目的は、顧客の創造である。したがって企業には二つの基本的な機能をもつ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果を持たらす」と言っているくらい、ビジネスにおいて重要な命題です。※マーケティングについての記事はこちら

記事のGOAL
・イノベーションについて理解できる
・イノベーションを起こす方法について理解できる
参考文献
・マネジメント 基本と原則 P.Fドラッカー著
・イノベーションのジレンマ クレイトン・クリステンセン著
・イノベーションへの解 クレイトン・クリステンセン著
・クリステンセン教授に学ぶ 「イノベーション」の授業 玉田俊平田 監修 イノウ編著
イノベーションとは
まずイノベーションとは何か?についてです。
企業は持続的な成長を求められますが、そのために必要な要件がイノベーションです。直訳すると「技術革新」ですが、本来の意味はもっと広義で、「新しい技術やアイデアを取り入れて、新しい価値を生み出し、社会に大きな変化をもたらすこと」です。なのでプロダクトだけではなく、プロセスやコミュニケーションのイノベーションもあります。
例
✔︎プロダクト・イノベーション:ガラケー → スマホ
✔︎プロセス・イノベーション:店舗販売 → ネット販売
イノベーション すなわち新しい満足を生み出すことである。経済的な財とサービスを供給するだけではなく、よりよく、より経済的な財とサービスを供給しなければならない。企業そのものは、より大きくなる必要はないが、常によりよくならなければならない。
引用 マネジメント 基本と原則 P.Fドラッカー
イノベーションの結果 もたらされるものは、より良い製品、より多くの便利さ、より大きな欲求の満足である。
イノベーションの種類
イノベーションには大きく2つのタイプがあります。
1.持続的イノベーション:既存の主要顧客が求めている。性能や機能が向上する。従来のやり方*で対応できる。
2.破壊的イノベーション:既存の主要顧客が求めていない。性能や機能は必ずしも向上しない。従来のやり方*では対応できない。破壊的イノベーションの種類は3パターン。
*従来のやり方:顧客の意見に耳を傾け、ニーズに合わせて製品やサービスの性能や機能を向上させること
2−1.新市場型破壊
既存の製品・サービスよりも従来の価値基準における主要性能は劣るものの、利便性などの新しい価値を提供することで、新たな顧客層を取り込むイノベーション。何らかの理由で既存製品を使用しなかった顧客が最初のターゲットになります。 例 スマホ、小型バイク(HONDA)など
2−2.ローエンド破壊
既存の製品・サービスよりも従来の価値基準における主要性能は劣るものの、安価であるため、要求が厳しくなく、収益性の低い顧客が最初のターゲットになります。 例 ファストファッション(ユニクロ)、俺のフレンチ
2−3.ハイブリッド型破壊
新市場型とローエンド型の両方の破壊を起こすイノベーション。これまで既存製品を使わなかった顧客と要求の厳しくない顧客が最初のターゲットになります。 例 ミラーレスカメラ、ipad(タブレット)

イノベーションのジレンマ
上記の「持続的イノベーション」はいわゆる優良企業が得意とし、投資効率も予測しやすいため、最優先で資源を投入します。しかしこれだけでは、企業は持続的に成長できないと言われています。
理由は、市場において求められる主要機能が、機能への要求が厳しくない顧客層の求めるレベルを超えた時、どこからか破壊的な変化が起こります。破壊的な変化(イノベーション)は、最初は自社の主要顧客とは被らず、もしろ主要顧客からは求められていない価値軸であるため、優良企業ほど素早い対応ができません。またこれまで培ってきた組織のプロセス・価値基準・能力や製品の競争軸は、破壊的な変化の際はむしろ障害になることが多いです。そのため、自ら破壊的イノベーションを起こしたり、変化に対応するためには、独立した小さな組織に任せることを勧めています。
イノベーションのジレンマ事例
ネット保険が登場した時、従来の店舗型保険は対応が遅れ、大きくシェアを奪われました。ネット保険は店舗を持たないことによる低価格を売りに、まずは保険にそこまで関心がない若者層を獲得していきました。一方店舗型は、主要顧客が求めている丁寧なサービスや既に持つ店舗が足枷になり、対応が遅れました。(もしくは客層が違うと判断し、競合と考えていませんでした)。しかし時間が経つにつれてネット保険のサービス(AIチャット対応など)や顧客のデジタルリテラシーの向上も相まって、次第に店舗型の主要顧客も取り込んでいき、シェアを大きく奪われる結果になりました。
破壊的イノベーションを起こす方法
破壊的イノベーションを起こすために企業がやらないといけないことは何か?
まず、本業(持続的イノベーション)が上手くいっている間に新成長事業(破壊的イノベーション)を始めないと手遅れになります。理由は、本業が落ち込むと、企業は顧客と経費対効果が見える事業にしか投資をしなくなるためです。その上でクリステンセン教授は以下8点を挙げています。
- 顧客の用事で新事業を探す
新しい事業、すなわち顧客の潜在ニーズを見つけるためには、顧客が片付けたい用事(ジョブ)や、用事を通じて達成しようとする成果(便益)から探る。この辺りはクリステン教授の「ジョブ理論」で深く書かれています。※マーケティングのインサイト発掘に近いので、こちらの記事も参考になると思います。:マーケティング戦略の立て方・生活者の隠れた悩み、インサイトを掘り起こそう - 無消費者という顧客を見つける
既存製品を理由があって購入していなかった新たな顧客(無消費者)と、彼らに製品を届けるための新たなチャネルを探す。 - 実行してから戦略を立てる
- 創発的戦略策定プロセス(=破壊的イノベーション)
目標となる収益プランを立て、それを実現できる仮説をたて、仮説を検証するための計画を実行して仮説の正しさを確認した上で、仮設に基づく戦略を実行する。将来を予見できない破壊的イノベーションにおいて有効。※デザイン思考に近いプロセスなのでこちらも参考:デザイン思考とマーケティング思考の共通点と組み合わせ - 意図的戦略策定プロセス(=持続的イノベーション)
将来に関する仮説を立て、仮説に基づいた戦略を策定し、戦略に基づいて財務成果を予測する。そして財務成果に基づいて資源を投資し、財務成果を達成するための戦略を実行する。将来を予見でき、正しい戦略がある程度見える持続的イノベーションにおいて有効。
- 創発的戦略策定プロセス(=破壊的イノベーション)
- 新事業と合う人や組織を選ぶ
- 新事業に必要なスキル、直感のある人をに任せる
- 新事業に合った仕事のやり方や優先順位で行う
- プロジェクトリーダーが各部門のメンバーと共に進行するプロジェクト型組織が良い。プロジェクト専任か、各部門業務との兼任の2パターンあり。(理想は前者)
- 破壊には経営者がコミットする
成果が予見できない事業に投資するためには、経営層の強い意志が欠かせません。アップルのイノベーションはジョブズの強烈なコミットメントがあったからこそ、アイフォン等の成功がありました。 - 次にお金が落ちる場所を探す
製品やサービスが顧客の求める性能を上回ってきた時、研究開発から流通・販売まで事業のバリューチェーンを1社で提供する相互依存型(例 ガラケー)から、バリューチェーンを複数の企業で組み合わせて提供するモジュール型(例 スマホ)に変化していきます。その方が固定費が安く、スケールメリットが出てくるためです。そして市場は価格競争=コモディティ化していきます。
そこで製品は脱コモディティ化を図るため、上位市場へ移行しようとします。その際、一部の部品の性能が不十分になります。そこで部品メーカーは相互依存型で付加価値の高い部品を作り出し、お金(利益)が落ちる場所(イノベーション)が生まれます。 - 市場の成熟度で事業範囲を決める
- 売上よりも利益を優先する
まとめ
企業の持続的な成長に欠かせないイノベーションは、「新しい技術やアイデアを取り入れて、新しい価値を生み出し、社会に大きな変化をもたらすこと」で、イノベーションの種類や起こし方をまとめました。そしてイノベーションは私たちの生活の中にも溢れています。新しい帰り道を見つけて帰宅時間を短縮したり(プロセス・イノベーション)、定規を使って音楽を奏でたり(プロダクト・イノベーション ?笑)。なのであまり難しく考えずに、私も小さなイノベーションを日々積み重ねていきたいと思います。




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