
記事のGOAL
・ストーリーとしての競争戦略について要点が理解できる
・自身の担当領域での戦略/戦術策定の参考になる
今回は名著「ストーリーとしての競争戦略 楠木建(著)」を参考に、優れた戦略ストーリーについて考察していきます。競合他社の模倣・新規参入・代替品等の脅威*に負けず、長期に渡って利益を創出することがビジネスの至上命題ですが、どうすればそれが可能になるのでしょうか??
*ファイブフォースの「5つの脅威」 出典:Salesforce Hub

その答えは利益創出まで論理的に強く・太く・長く繋がった「戦略ストーリー」にあると本書では説明しています。私自身も担当する領域での戦略創りに大いに参考になりました。特に競合が安易にマネをすると火傷をしてしまうような、部分的には不合理だが全体的には合理的な要素「クリティカルコア」がとても印象的でした。(言うは易く行うは難しですが・・)
ストーリーとしての競争戦略の要点
ストーリーとしての競争戦略の全体像

戦略ストーリーの柱(5C)
Comcept コンセプト:本質的な顧客価値の定義。具体的には、誰に?何を?なぜ?を考える。
Components 構成要素:競合他社との違い。方法は2種類。
・ポジショニング(SP):どこを狙い、どこを狙わないかを明確に決めることで生まれる違い
・組織能力(OC):長年の経験蓄積により生まれる違い。ノウハウに近く暗黙知。
Critical Core クリティカルコア:部分的には非合理だが、全体の文脈の中では合理的に働く、他社が真似しようと思わない(できない)要素。
Competitive advantage 持続的な利益に繋がる競争優位:種類は3種類
・WTP(Willingness To Pay)優位:顧客が支払いたいと思う水準(例 スターバックス)
・コスト優位:業界の平均よりも低コストで実現 (例 サウスウエスト航空)
・ニッチ:競合他社が相手にしない狭い範囲でのビジネス(例 フェラーリ)
Consistency 一貫性:ストーリーの評価基準。構成要素をつなぐ因果論理

事例 スターバックス
Comcept:
日々忙しい会社員や学生に対して、ゆったりとした雰囲気の中で飲むプレミアムコーヒーによって、家でも会社でもない最高にリラックスできる「第三の場所(サードプレイス)」を提供。
Components 構成要素:
・店舗の雰囲気(ゆったり座れる椅子、落ち着いたBGM、出てくるのに時間がかかるコーヒーなど)
・出店と立地(初期は慌ただしいプレミアム立地への集中出店)
・スタッフ(バリスタ教育。馴染客とのちょっとした会話など)
・メニュー(新鮮なプレミアムコーヒーの提供。飲み方のカスタマイズ対応。フードには力を入れない。)
Critical Core クリティカルコア:
多くのカフェチェーンはコスト効率やリスク低減、出店スピードを上げるため「フランチャイズ方式」をとるが、スタバはあえて非合理的な「直営方式」をとっている。しかしコンセプト及び構成要素を繋ぐストーリー全体の観点では非常に合理的。
Competitive advantage 持続的な利益に繋がる競争優位
WTP(Willingness To Pay)優位。

クリティカルコア事例
・マブチモーター:モーターの標準化。当時の業界の常識であり課題であった製品に合わせたモーター開発による多品種少量生産や稼働の不安定を解決し、コスト優位を生み出して長期利益を獲得。
・ガリバー:買取専門。一般顧客向けに販売することで得られる高いマージンを諦め、買い取った車すべてを原則オークションで販売。それによって在庫管理や販促費等を抑え、コスト優位による長期利益を獲得。
・サウスウエスト航空:空飛ぶバス。ハブ空港を使用せず、低コストの小規模空港の直行便のみで15分ターンを実現し、コスト優位による長期利益を獲得。
ケーススタディ:USJの戦略ストーリーを作ってみよう
では続いて、身近な企業の戦略ストーリーを読解してみようと思います。
そこで!題材は私も大好きなUSJにします。※私の独断と偏見になりますのでご了承くださいませ。
参考 USJのホームページ

■業界の競争構造
今のところ競争構造としては、良くはないかもですが、悪くもないと思います。
USJが属する市場の定義は悩ましいところですが、ジャンルで言うと「テーマパーク市場」、消費者行動で言うと「レジャー市場」が良いですね。大型の投資が必要なので参入障壁は高いですが、近年でもレゴランドやジブリパークなどポツポツ新規参入があります。でも消費財のようにバチバチに競合しているイメージは無いですね。理由は顧客(レジャー行動)の多さにあり、顧客にとって意味のある体験価値を創り訴求することができれば、どこでも儲かるのではと思います。あとは代替の可能性ですが、どうでしょう・・、メタバースが普及してリアルな体験が必要ない時代が来るでしょうか?笑
■Comcept コンセプト
コンセプトは、「ストレスフルな日常に不満を持つ生活者に対して、ありえない”ワクワクドキドキ”体験によって思いっきり感情を発散させ、明日への活力を得られる 超元気特区」だと思います。
■Components 構成要素
・ポジショニング(SP):元気になれれば何でもありの、エンタメのセレクトショップ。なにか特定のジャンルに特化しないという意思決定。
・組織能力(OC):森岡毅さん流の数学マーケティングとハリウッド仕込の制作力(クオリティ)
■Critical Core クリティカルコア
元気になれれば何でもありの、エンタメのセレクトショップ。一般的にテーマパークはテーマを絞り、世界観を作り込むことで差別化を図るのが合理的と言われている。しかしテーマを絞らないことで客層が拡がり、マーケティングや制作力も活きて多種多様な体験が可能になっている。
東京ディズニーランドはミッキーマウスやプリンセスなどのアニメの世界観を大切にし、「夢がかなう場所」をコンセプトにしているため、模倣はしないと思われる。ただ、ディズニーが持つ「スターウォーズ」や「マーベル」のコンテンツを使わないのも勿体ないなぁと個人の感想。
■Competitive advantage 持続的な利益に繋がる競争優位
WTP(Willingness To Pay)優位。
■Consistency 一貫性
ゲストが元気になれるか?に対して一貫した体験が創られており、またコンテンツがゴチャゴチャしているのも大阪らしくて良いという謎の土地柄もネガティブな要素を薄めている気がする。

まとめ
私の職場でのマーケティング戦略は、本書でいうところのコンセプトのところでしたね。いわゆるWho−What−Howのフォーマットです。※詳しくはこちら
そしてクリティカルコアと合わせて理解しておくと便利なのが、POD−POP−POFフレームワークです。業界の良いとされる基準を変え、競合の強みを陳腐化させたり弱みに変えたりする戦略を考えるのに役立ちます!
本書のユニークなところは、Who−What−How 各要素(特にHow)の繋がり(=ストーリー)に重点を置いている点と、長期的な参入障壁クリティカルコアの考え方だと思いました。私も一見して非合理な「賢者の盲点」を突いた戦略を考え出したいものです。そのために業界の常識を疑ったり逆を行ったりして、切り口を模索しようと思います。(・・ブログ収入にもそういうの無いかしら??)






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