
記事のGOAL
・エビデンスやファクトに基づき、今のマーケティングにおいて何を止めるべきか理解できる
・これまでの当たり前を見直し、これからは正しいことに注力できる
・ほんまかな?と、自社データの分析がしたくなる 笑
今回は芹澤連さんの著書である「戦略ごっこ マーケティング以前の問題」の要点を所感と共にまとめ、上記Goalが達成できるような記事にしたいと思います。

ちなみに本書は「ブランディングの科学」や「確率思考の戦略論」に出てきたファクトや法則が沢山出てきますので、併せて読むと理解度が深まります。
※上記の本についても記事を書いておりますので、詳しくはリンク先を参照ください。

重要なエビデンス(要点)まとめ
エビデンス:異なる状況下で繰り返し観測される市場や消費者行動の規則性
- 事業の成長は、既存顧客だけではなく、非購買層やカテゴリーライトユーザーへの浸透が重要。つまり浸透率(間口の広さ)である。
- 消費財のようなプレファレンスの異質性が低い、エボークドセットブランドが多い「レパートリー市場(消費財等)」と、金融サービス・電気やガスのようなプレファレンスの異質性が高い「サブスクリプション市場」では、ロイヤルティの捉え方が大きく異なる。
- ダブルジョパディの法則:マーケティングシェアの低いブランドは、購買客数も非常に少ない。またこれらの購買客は行動的ロイヤルティも態度的ロイヤルティもやや低い。
- 大きなブランドと小さなブランドの主な違いは顧客数であり、ロイヤルティの高さはそこまで変わらない(大きいほうがやや高くなる)
- ロイヤルティにはカテゴリーに応じた限度があり、またロイヤルティだけを高めることはできない。
- 平均への回帰:ヘビーユーザー化や離反は、他の要因と独立しており、マーケティングでコントロールできる変数ではない。その時期だけのデータで見て、ヘビーユーザーに分類しただけの場合も多い。しかし一時的な離反なのか、本当の離反(想起集団から外れる)なのかは混同しないように注意。
- カテゴリーシェアが高いブランドは、浸透率とロイヤルティの両方を、別々にケアした方がより成長する。
- 年単位で見るとパレートの法則は上位20%の顧客が貢献する売上は50〜60%程度(80%もない)
- ヘビーユーザーの安定性(上位20%ユーザーが翌年も20%でいる割合)は、50%程度。つまり1年で半分は入れ替わる。
- カテゴリーヘビーかつブランドロイヤルユーザーは、全体の1%も満たない。
- カテゴリーヘビーユーザーのウォレットシェアはかなり低い。理由は多くのブランドを利用してカテゴリーニーズを満たすため。一方カテゴリーライトユーザーは無関心なため、同じブランド、特にシェアの大きいブランドを繰り返し購入する傾向が高くなる。(自然独占の法則)
- 競合するブランド間の顧客構成はほとんど同じになる。ゆえにポジショニングによる差別化(顧客の棲み分け)は不可能。
- 態度→行動のベクトルだけではなく、行動→態度の考慮も重要。良いブランド体験が良いブランドエクイティを築いていく。
- カテゴリーエントリーポイント(CEP):CEP=きっかけ(解決したい悩み)→カテゴリー需要→ブランドの順番で選ばれる。過去の購入体験があるブランドほど記憶の結びつきも強くなる。
- 未顧客が買わない理由は、CEPにおいてのブランド想起集団に入っていないから。それ以外に特別な理由はない。(インタビューで出てくる話は後付です)
- 理由(POF)があって買わない未顧客は10%程度、あるいはそれ以下。
- 「今買うべき理由」で購買行動が起こるのは、すでにブランドが想起集団に入っている既存顧客のみ。
- ブランドへの態度が売上に及ぼす影響は8%程度。残りの90%近くは過去の購買(行動ロイヤルティ)による。※商材によって異なる
- 大きなブランドほど多くの文脈(CEP)で想起され、小さなブランドほど想起される文脈が少ない。カテゴリーを利用する文脈で、ブランドがジョブやゴールに合った特徴や属性(=価値)と認識されているかが重要。
- 購買行動の一つ一つは、独立した確率の基で行われている。
- 消費者の多くはブランド間の差別化に気づいておらず、気づかずともブランドを選んでいる。よって競合するブランド間の顧客層はほとんど同じになる。差別化は必要条件だが十分条件ではない。
- 価格弾力性の平均はおよそ−2.62(例 10%値下げすると25%の販売増が見込める)
- 同じ顧客でも、文脈やオケージョンによって価格感度は変化する。顧客‐文脈‐ブランド属性‐価格差別で考える。
- 価格プロモーションに反応するのは既存顧客やカテゴリーヘビーユーザーで(約8割)、新規獲得にはあまり寄与しない。
- 人は想起で購入するため、現在の売上やシェア(=記憶)を維持するだけでも最低限必要な広告量がある。例えば広告を1年しなければ売上は平均して16%、2年しないと25%減少するという報告がある。
- ブランドの独自資産(DBA:Distinctive Brand Aseets)は、ブランド名以外何も想起させない方がいい。他の意味をもたせるのはむしろリスク。ブランドに無関係な意味や連想が間に挟まるほど、ブランド想起される確率が減る(ブランドコンペティション)。
- ブランドイメージの向上が購買行動を生み出すのではなく、良い購買経験が良いイメージを構築している。背景に、ブランドイメージはシェアや浸透率に連動して上下する。つまりブランドイメージもダブルジョパディの法則に従う。
- ブランドに対するパーセプション構築の要因は、直接的な利用経験、他者からの口コミ、広告などのマーケティングの3つ。
- 特定のブランドに固有する特徴や機能に対するパーセプション(記述属性)は、必ずしも顧客数や利用経験と連動しない。
- 評価属性:ブランドと属性を関連づける割合が顧客で高く、未顧客で低い。シェアと連動するため、未顧客の訴求軸にはなりにくい(いわゆるPOP)
- 記述属性:ブランドと属性を関連づける割合が顧客と未顧客で変わらない。よって未顧客への訴求軸になり得る(いわゆるPOD)
- 評価属性:ブランドと属性を関連づける割合が顧客で高く、未顧客で低い。シェアと連動するため、未顧客の訴求軸にはなりにくい(いわゆるPOP)
- ブランドの記述属性は、顧客のニーズやゴールに対する価値に再解釈して、文脈とともに想起を促すことが重要。
- 消費者がブランドをどの属性に結びつけるかは確率的に変化する。連想の一貫性はおよそ50%だと言われている。
- ブランドを買うべき理由:既存顧客には有効な面もあるが、未顧客には別の切り口が必要。理由があって買わないという未顧客は10%程度しか存在しない。大半の未顧客は単に想起していないだけ。
- どのブランドと顧客を奪い合うかは、ポジショニングではなくシェアで決まる。
- 購買重複の法則:市場シェアに応じて競合と顧客基盤を共有する。つまり大きなブランドはより多くの顧客を、小さなブランドはより少ない顧客を共有している。
- 強いブランドは、複数のカテゴリーニーズに対するメンタルアベイラビリティを築いているからこそ強い。重要なのはポジショニングではなく、間口の広さである。
- メンタルアベイラビリティ
消費者のブランドにかかわる全ての記憶。ブランドの記憶が多い・新鮮であるほど、購買シーンで消費者がブランドを想起する確率が競合よりも高まり、選ばれる確率が上がる。
要素
-ブランドロゴやパッケージ、カラーなど
-なぜ・いつ・どこで・誰と・何と一緒に買う/使うなどのブランドオケージョン(カテゴリー エントリー ポイント)- カテゴリーエントリーポイント(CEP)
ブランドと繋がる道の入り口。多いほどブランドが想起される機会が増える。消費者が購買の選択肢を絞り込むときに生じる共通の連想(きっかけ)。より想起頻度の高い一般的なCEPで覚えられる必要がある。
例 ソフトドリンク→「暑い」「子供が好き」「健康に良い」「ご褒美」「食事に合う」など- CEPの平均は6.4個
- CEPが1つしかない人は1‐2割程度(主にライトユーザー)
- カテゴリーエントリーポイント(CEP)
- フィジカルアベイラビリティ
多くの消費者に幅広い購入機会が提供されている状態。具体的には配荷の量と質のこと。
要素
-プレゼンス:ブランドの存在感(市場のカバー率)
-レレバンス:買い求めやすさ(製品やサービスのポート
フォリオ、購買バリアの除去)
-プロミネンス:目立ち(ブランドの独自性)
↓言い方変えると
-配荷の量:配荷率、市場カバー率
-配荷の質:陳列位置、フェース数、山積み、上位表示(EC)、目立ち - パーセプションは質より量。つまり手数が多いブランドが勝つ
- マーケターが取り組むべきことは、ブランドと結びついたCEPの数を増やすこと、ブランドとCEPの結びつきを強めていくこと。
- W’sフレームワーク:CEPの探索と発見を促す6W1Hの思考ツール
- Why:なぜそのカテゴリーを使うのか、どんなゴールのために採用するのか。
- When:カテゴリーを購買&利用するのは1日の中でいつか。週や月、季節による違い、平日・休日による違いはないか。イベントやアニバーサリーは?
- Where:カテゴリーはどこで利用されるか。リアルやデジタルの違いはあるか。
- While:カテゴリーの使用前後に何をしているのか。どんな行動の最中にニーズが生まれているか。
- With/for Whom :買うのは誰で、使うのは誰か。利用するとき誰かがいるか。誰かと一緒に利用するか。行動に影響を与える第3者はいるか。
- How feeling:カテゴリーを利用する前はどんな気分か、利用前後で気持ちは変化するか。何が行動を増やすのかあるいは減らすのか。
- Why:なぜそのカテゴリーを使うのか、どんなゴールのために採用するのか。
- 攻めるべきCEPの選び方
- CEPに適した製品やサービスを提供できるか(強みとのマッチ)
- CEPと競合ブランドのリンクの強さはどのくらいか
- CEPの購入頻度や利用金額はどのくらいか(なるべく間口の広い方が望ましい)
- CEPに適した製品やサービスを提供できるか(強みとのマッチ)
- 想起のトリガー2つ:
- 状況的な手がかり:CEPを象徴するよる場面や状況の描写。
- 利用文脈のゴール価値:ブランドをCEPのゴールに合致した価値に翻訳。消費者のゴールと結びつきが強く、より大きな報酬が期待できるほどWTP(willingness to pay)が高まる。
- 状況的な手がかり:CEPを象徴するよる場面や状況の描写。
- オルタネイトモデル:行動を規定する文脈要因を4つに分解。
- 状況:行動がおきるきっかけ
- 欲求:行動の裏にあるニーズ
- 抑圧:行動を妨げるバリア
- 報酬:行動に結果として得られる便益
- 状況:行動がおきるきっかけ

- 独自のブランド資産(DBA)は徹底して同じであるべき。無意味な変更はしない。
- 広告は説得ではなくパブリシティ(消費者が自分なりの買う理由を思いつくための導線)である。広告を見ることで消費者それぞれが、「自分なりの買う理由」を思い出す。(広告は説得ではない。)※コカ・コーラ「Coke Is It」、今日ケンタッキーにしない?など
- リーチとフリークエンシーはどちらが重要か?
- 成熟市場における購入間隔の短いカテゴリー(消費財など)では、収穫逓減型(1回目が最も効果的で、2回目以降が減少)の反応関数になりやすい。よって同じ人に2回3回と重複接触させるより、最初の1回をあてる人数を増やしたほうが良い
- リーセンシーの考え方「95:5ルール」:
四半期単位で考えると、カテゴリー需要が発生するアクティブな潜在顧客は全体の5%しかおらず、残りの95%は需要が発生していない未顧客になる。シーズンコミュニケーションでコンバージョンさせられるのは潜在層の5%程度が上限である。 - 広告戦略において、量の少なさを質の高さでカバーするのは現実的ではない。例えばリーチが半分になると2倍の広告パフォーマンスが必要。
- ROIを見ながら反応率の高い顧客に絞り込んでいくと、何もしなくても購入していた人の割合が高くなるため要注意。(=純増を生んでいない)
所感
本書を読んでいる時は楽しくサクサク行けたのですが、いざ書き出すとなると、エビデンスをまとめるだけで疲れました。。
でもどれも重要なファクトで、現在やっているマーケティング施策を見直す良い機会となりそうです。
特にマーケターが重要顧客にしがちな既存顧客と、実はビジネスインパクトが大きい未顧客に分けて捉え、未顧客(カテゴリーライトユーザー及び新規)の獲得に注力しましょう。という視点が斬新でした。
でも確かに自社データを5年分くらい眺めていたら、確かにダブルジョパディな傾向があったんですよ。
まさに売上の拡大は、主にライトユーザー&新規顧客の拡大に支えられており、併せてロイヤル顧客もちょっと増えていました。
なので今年は本腰を入れ、未顧客の獲得を促進できるようなCEPを見極め、マーケティングをしていこう!・・と思いきや、私CRMの担当者なんですよね。笑
本書において、CRMやロイヤルティプログラムは過大評価されがちと書いており、まさにその通りで、私自身イマイチ手応えの掴めない日々を過ごしています。。
なのでまずは、無意味に狭いセグメンテーションやROI最優先のターゲティング施策などを見直し、徐々にですが間口広めのCRMに移行していこうと思います。
Appendix









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