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oniku

・生まれも育ちも現在も(未来も?)大阪

・事業会社3社で12年以上ブランドマーケティングを実行中の現役中堅マーケター

・公益社団法人日本マーケティング協会認定資格「マーケティング・マスター」

・マーケティング自体が好きで、ほぼ趣味でもあり、これまで読んだ関連書籍は121冊 ※2024年12月時点

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60.レセプティブモーメントとカテゴリーエントリーポイントで考える、ブランディングの本質

マーケティング思考の活用

ブランディングの議論で、

  • レセプティブモーメント
  • カテゴリーエントリーポイント(CEP)

という言葉が出てきてませんか??

しかし実務の現場では、

  • 「結局、何が違うのか」
  • 「どちらを重視すべきなのか」
  • 「ブランディングとどう関係するのか」

が曖昧なまま語られていることも多いですよね。

この記事では、両者の違いと関係性、そしてブランディングにおける役割を整理します。


レセプティブモーメントとは何か

レセプティブモーメントとは、
生活者が特定の情報を受け取りやすい心理状態・瞬間のことです。

重要なのは、この時点で人は

  • 問題を完全に解決しようとしていない
  • 比較・検討を始めていない
  • 意思決定モードに入っていない

という点です。

例えば、

  • 仕事で疲れて帰る電車の中
  • 夜、ぼんやりスマホを眺めている時間
  • 将来に対して漠然とした不安や違和感を感じている瞬間

こうした場面では、人は無意識レベルで

「答え」ではなく「ヒント」

を求めている。

ここで起きているのは、
悩みの解決ではなく、悩みの言語化や意味づけ

だからレセプティブモーメントでは、

  • 機能説明
  • 優位性比較
  • 論理的説得

よりも、

  • 共感
  • 世界観
  • 問いの立て方

の方が圧倒的に届きやすいと言われています。


カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは何か

一方、カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは、
ある状況や欲求に直面したとき、解決するためにカテゴリー及びブランドが想起される入口の瞬間のことです。

例えば、

  • 結婚を機に暮らしを見直す
  • 子どもが生まれ、将来を考え始める
  • 今の住まいが手狭だと感じる

この段階になると、人はこう考え始める。

「これは住み替え(住宅カテゴリー)で解決する話だな」

ここで初めて、

  • 検索
  • 比較
  • 検討
  • 行動

が始まります。

つまりCEPは、行動のスイッチそのものではなく、行動が始まる直前に起きる“カテゴリー及びブランド想起のスイッチ”と言えます。


両者の決定的な違い

両者の違いを一言でまとめるとこうなる。

  • レセプティブモーメント:
    「今、この人は話を聞く状態か?」
  • カテゴリーエントリーポイント:
    「何を解決したい時に、このカテゴリーが思い出されるか?」

この2つは対立概念ではなく、カスタージャーニーのタイミングが異なる概念だと理解すると分かりやすいですね。


ブランディングにおける両者の関係

ブランディングの観点では、
カテゴリーエントリーポイントで想起されるための準備を、レセプティブモーメントで行うことになります。

人はCEPの瞬間に、

  • 深く考えない
  • 情報を精査しない
  • ゼロから学ばない

ただ、過去に触れた記憶を検索するだけです。

だから重要なのは、

CEPは結果、その前にいかにブランドを刷り込むか

という点になる。

ブランディングとは、

将来のカテゴリーエントリーポイントで
自ブランドが一番に想起されるよう、
日常的なレセプティブモーメントにおいて
意義性や差別性、世界観やブランドらしさを沈殿させておく活動

と言い換えることができます。


住宅ブランドの例で考える

例えば、
「自分に戻れる、リラックスできる家」という価値提案を考えてみましょう。

レセプティブモーメント

  • 仕事で疲れた帰り道の電車の中
  • インサイトは
    • 心身の疲れを癒したい(リラックスしたい)
    • 本来の自分に戻りたい

この時に伝えるのは、

  • 家の性能
  • 価格
  • 比較優位

はあまり入ってこないですよね。

「あなたの感性に合った解放感のある家がある」

という抽象的な世界観の提示で十分です。

受け取り方は、

「なんかいいな」
「この考え方、好きかも」

程度でいいのです。

ブランド名も
「◯◯ハウスだった気がする」くらいで問題ないです。

カテゴリーエントリーポイント

そして、

  • 結婚、出産
  • 住み替え検討

というタイミングが来たとき、
人は初めて「住まい」というカテゴリーで解決することを検討し、その瞬間にふっと立ち上がるのが、

「そういえば、自分に戻れる家って言ってたブランドがあったな」

という記憶。
これが、レセプティブモーメントで仕込まれたブランドが、CEPで回収される瞬間です。


なぜブランディングは“すぐ売れなくていい”のか

この構造を理解すると、

  • ブランディングは効果が見えにくい
  • すぐ売上につながらない

と言われがちな理由も見えてきますよね。

ブランディングは、

  • 検討していない時期
  • 買う気がない瞬間

にこそ重要で、実行されるからです。あくまで認識や態度変容が目的で、即座の行動変容までは期待していない。

しかしその蓄積がなければ、

  • CEPの瞬間に思い出されない
  • 比較の土俵にすら立てない

という事態が起きます。


まとめ

  • レセプティブモーメントは、意味が沈殿する瞬間
  • カテゴリーエントリーポイントは、記憶が呼び出される瞬間
  • ブランディングとは、CEPで想起されるために、CEP以前の時間を耕す活動

ブランディングとは、「いつ売るか」ではなく、

「いつ、どう思い出されるか」を設計すること

だとも言えそうですね。

ブランドについてはこちらの記事も参考ください。

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