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oniku

・生まれも育ちも現在も(未来も?)大阪

・事業会社3社で12年以上ブランドマーケティングを実行中の現役中堅マーケター

・公益社団法人日本マーケティング協会認定資格「マーケティング・マスター」

・マーケティング自体が好きで、ほぼ趣味でもあり、これまで読んだ関連書籍は121冊 ※2024年12月時点

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61.マーケティング初心者の方が強くなるための、マーケティングリサーチ入門

マーケティング体系(基礎・フレームワーク)

なぜマーケティングリサーチは「とっつきにくい」のか

マーケティングリサーチと聞くと、

  • 数字が多くて難しそう
  • 専門家がやるもの
  • 時間もお金もかかり、面倒

そんなイメージを持つ人は少なくありません。実際、「関心が低い」「知識が不十分」と感じている人が多い気がします。

ですが、結論から言うと、マーケティングリサーチは初心者こそ知っておくべき武器です。

なぜなら、リサーチはマーケティングで最も重要な「顧客理解」を、一気に前進してくれるからです。

この記事では、

  • マーケティングリサーチの役割
  • やることで得られるメリット
  • いつ・どんな課題に・どんなリサーチが向いているか
  • 初心者が陥りがちな注意点

を、できるだけシンプルに解説していきます。

マーケティングリサーチの役割とは?

リサーチの目的は「顧客理解を深めること」

マーケティングのゴールは、極端に言えば「顧客に選ばれ続ける仕組み作り」です。

そのために最重要なのが、顧客を正しく理解すること。

マーケティングリサーチの役割は、この顧客理解を

  • 感覚ではなく
  • 思い込みでもなく
  • 事実(ファクト)として明らかにすることです。

顧客は「定量」と「定性」に分けると見えやすくなる。

顧客理解は、大きく2つに分解できます。

  • 定量情報(数字で捉える顧客)
    • 何%の人が知っているのか(間口)
    • どれくらいの頻度で使っているのか(奥行)
    • 他社と比べてどちらが選ばれているのか(シェア)
  • 定性情報(意味・認識で捉える顧客)
    • なぜそれを選んだのか
    • どんな不満や期待を持っているのか
    • どんな気持ちで使っているのか

数字だけでも、意識だけでも不十分。両方を行き来することで、顧客像は一気にクリアになります。

リサーチは「戦略ストーリー」を骨太にする

もう一つ、リサーチの重要な役割があります。

それは、戦略や企画のストーリーをファクトで支えることです。

  • 「たぶんこうだと思う」
  • 「経験上、こうじゃないか」

ではなく、

  • 「データ上、こうなっている」
  • 「顧客の声として、こう語られている」

と言えるようになる。

これにより、

  • 個人の主観に引きずられにくくなる
  • 上司や関係者との議論が建設的になる
  • 説得力が格段に上がる

という効果が生まれます。

(「上司に負けない」場面が増えます)

いつマーケティングリサーチをやるべきか?

よく悩むのが、

「そもそも、いつリサーチをやればいいの?」という点です。

代表的なタイミングを整理してみましょう。

① 戦略や方針を考える前

  • 誰をターゲットにするか
  • どんな価値を提供するか

こうした上流の意思決定ほど、リサーチの価値は高くなります。

なぜなら最初の前提がズレていると、その後の施策がすべてズレるからです。

② 課題の正体が分からないとき

  • 売上が落ちている理由が分からない
  • なぜ選ばれていないのかが曖昧

この状態で施策を打つのは、暗闇で矢を放つようなもの。

リサーチは、「何が本当の課題か」を仮説検証し、特定するために使います。

③ コンセプトや施策の力を検証したいとき

  • この打ち出しは響きそうか?
  • この価格は高すぎないか?

思いついたアイデアを、そのまま実行する前に、

小さく確かめるのもリサーチの大事な役割です。

課題別|どんなリサーチが向いているか

ここでは、初心者が押さえておきたい代表的なリサーチを紹介します。

課題① 市場や顧客の全体像を知りたい

向いているリサーチ

  • 定量調査(アンケート調査)

分かること

  • 認知率・利用率・満足度
  • セグメントごとの違い

まずは全体像を掴む。地図を持つイメージです。

課題② なぜそうなっているのか知りたい

向いているリサーチ

  • 定性調査(インタビュー、デプスインタビュー)

分かること

  • 選択理由
  • 本音や感情
  • 数字の裏側

アンケートで見えた結果の「理由」を深掘りします。

課題③ アイデアや仮説を磨きたい

向いているリサーチ

  • 簡易アンケート
  • コンセプト需要調査

分かること

  • 伝わりやすさ
  • 違和感の有無
  • 改善のヒント

完成度を上げるための壁打ちとして使います。

ケーススタディ|実務でどう使われるのか

ケースを読む前に|ここで見てほしいポイント

ここから紹介するケーススタディでは、

単に「どんな調査をしたか」ではなく、リサーチによって何がどう変わったのかに注目してください。

見るポイントは3つです。

  1. 最初の課題は何だったのか(何が分からなかったのか)
  2. どんなリサーチを行ったのか(定量か、定性か、その組み合わせか)
  3. その結果、意思決定がどう変わったのか

この3点を意識すると、

マーケティングリサーチが「調べる行為」ではなく、

判断の質を上げるための道具だと分かるはずです。

ここからは、より実務に近いイメージを持ってもらうために、マーケティングリサーチがどのように使われるのかをケースで見てみましょう。

ケース① 売上が伸び悩んでいる理由が分からない

よくある状況

  • 広告費は増やしているのに売上が伸びない
  • 営業や上司からは「商品の魅力が弱いのでは?」と言われる
  • しかし、何が問題なのかは誰も説明できない

ありがちな失敗

  • とりあえず広告表現を変える
  • 値引きやキャンペーンを打つ

リサーチでやったこと

  1. 定量調査で、認知・理解・購入意向を把握
  2. 定性インタビューで、非購入理由や購入理由を深掘り
    ※買わない理由は直接聞いても出てこないので注意

分かったこと

  • 認知は十分にある
  • 商品理解が途中で止まっている
  • 「自分向けの商品だと思えない」という心理的ハードルがあった

意思決定につながったこと

  • 広告の問題ではなく、訴求軸とターゲット設定のズレだと判断
  • クリエイティブ改善ではなく、戦略側の見直しに踏み切れた

👉 リサーチが「打ち手選び」を間違えないための役割を果たしたケースです。

ケース② 上司と意見が割れて企画が進まない

よくある状況

  • 自分はA案が良いと思っている
  • 上司は経験からB案を推してくる
  • 議論は平行線で、最後は権限でBに決まる

リサーチでやったこと

  • コンセプト案A・Bを簡易アンケートで評価
  • 「魅力度」「分かりやすさ」「選びたい理由」を比較

分かったこと

  • 魅力度はA案が優位
  • ただし理解度はB案が高い
  • A案は表現を改善すれば伸び代が大きい

意思決定につながったこと

  • A案をベースに、分かりやすさを補強する方向で合意
  • 個人の好みではなく、データを軸に議論できた

👉 リサーチは「誰が正しいか」ではなく「何が最適か」に議論を変えてくれます。

ケース③ 顧客像がふわっとしている

よくある状況

  • ペルソナは作っているが、正直ピンとこない
  • 社内で顧客イメージがバラバラ

リサーチでやったこと

  • 定量調査で顧客をいくつかのタイプに分類(クラスター分析)
  • 各タイプに対して定性インタビューを実施

分かったこと

  • 同じ商品を買っていても、重視点がまったく違う
  • 伝えるべき価値がセグメントごとに異なる

意思決定につながったこと

  • メインターゲットを明確に定義
  • コミュニケーションの優先順位が揃った

👉 定量と定性を組み合わせることで、顧客像が一気に立体化します。

ケースから学ぶ|リサーチ活用の考え方

ここまでのケースを、少しだけ抽象化して整理してみましょう。

① 課題の種類によって、やるべきリサーチは変わる

  • 「何が起きているか分からない」→ 定量で全体像を掴む
  • 「なぜそうなっているか分からない」→ 定性で理由を深掘る
  • 「どちらが良いか決められない」→ 比較型の評価調査

課題が違えば、最適なリサーチも違います。

② 定量と定性は、セットで考えると強い

  • 定量だけだと、理由が分からない
  • 定性だけだと、どれくらい重要か分からない

ケース③のように、

定量で分けて、定性で理解することで、顧客像は立体的になります。

③ リサーチは「施策」ではなく「判断」を変えるもの

どのケースでも共通しているのは、

リサーチの結果によって

  • 打つべき施策
  • 議論の論点
  • 合意の取り方

が変わっている点です。

マーケティングリサーチの本質は、正解を出すことではなく、間違えにくくすることだと言えます。

初心者が知っておきたいリサーチの注意点

最後に、マーケティングリサーチで失敗しがちなポイントをまとめます。

注意点① 仮説なしでやらない

「とりあえず聞いてみる」は、

  • 聞くことがブレる
  • 何も判断できない

という結果になりがちです。

最低限の仮説を持ち、確かめるためにリサーチをする。

これだけで、得られる学びは大きく変わります。

注意点② 数字は「比較」して初めて意味を持つ

  • 前年比
  • 他社比較
  • セグメント比較

単体の数字だけを見ても、判断はできません。何かと比べて初めて、良い・悪いが見えてきます。

注意点③ リサーチは意思決定のために使う

リサーチの目的は、

  • きれいな資料を作ること
  • 調査をやった事実を作ること

ではありません。

次にどう判断し、どう動くかを決めるためにあります。
「この結果を見て、何を決めるのか?」を常に意識しましょう。

おわりに|リサーチはマーケターの思考を自由にする

マーケティングリサーチは、

マーケターを縛るものではなく、自由にするものです。

  • 思い込みから解放され
  • 議論に根拠が生まれ
  • 自信を持って判断できる

最初から完璧にやる必要はありません。

小さく、シンプルに、顧客を知る一歩として使ってみてください。

きっと、マーケティングが少し楽しく、少し強くなるはずです。

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