マーケティングのゴールは認識・態度・行動を変化させる、つまり「人を動かすこと」だと言われています。
おや、人を動かす普遍のテーマと言えば、、、「愛」ですよね?笑
今回はマーケティング思考に「愛」を盛り込んでみようという試みです。
つまり↓↓
マーケティングの本質は、「人を愛すること」ではないか。
「そこに愛はあるんか?」
少し変な感じに聞こえるかもしれませんが、「愛」という視点でマーケティングを捉え直すと、企業と生活者の関係性やブランドの在り方が、驚くほどクリアになりました。
認識の愛:生活者への関心と理解
まず「愛」は、認識の愛と行動の愛の2つに分けて考えることができると考えました。
まず認識の愛とは、対象に関心を持ち、思いやりを抱くことです。
認識の愛
- 関心:対象に興味を持って、注意を向けること
- 思いやり:対象の幸福や安心、成長に寄り添う気持ちがあること
マトリクス
| 思いやり あり | 思いやり なし | |
|---|---|---|
| 関心 あり | 愛(恋愛、友情、親子愛、自愛) | 嫌悪・反感(嫌いな人を気にする) |
| 関心 なし | 慈善・形式的思いやり(募金、八方美人) | 無関心(存在を気にしない) |
対象者には自分(自愛)も含まれます。
愛のキャパシティ
人間が関心を持てる対象には限界(キャパシティ)があることを覚えておくと良いですね。
参考 ダンバー数
ダンバー数とは、人間が安定的な社会的関係を維持できる上限人数を指します。
1990年代に、英国の人類学者ロビン・ダンバー(Robin Dunbar)によって提唱されました。
彼は霊長類の脳(特に前頭前野)の大きさと社会集団の規模の関係を研究し、人間の場合、その上限がおよそ150人になると導き出しました。
ダンバー数の構造(「同心円モデル」)
| 層 | 関係性 | 人数の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 5人 | ごく親しい関係(家族・親友) | 約5人 | 深い信頼・頻繁な接触・強い情緒的結びつき |
| 15人 | 親密な関係 | 約15人 | 定期的に連絡を取り合う・支え合う仲 |
| 50人 | 良い友人 | 約50人 | パーティーに呼ぶ・近況を知っている |
| 150人 | 意味ある社会的関係 | 約150人 | 名前や顔、関係性を覚えている範囲 |
| 500人 | 顔見知り | 約500人 | 名前や見た目を知っている程度 |
| 1500人 | 認知可能な限界 | 約1500人 | 「どこかで見たことがある」レベル |
- 人間の関心には上限がある(ダンバー数:約150人)
- 強いネガティブ感情や嫌悪も関心キャパを消費する
- 自愛によってネガティブ感情を緩和すると、愛に使える容量を確保できる
そしてこれらをマーケティング実務に言い換えれば、関心と思いやりを持つことで、真の顧客理解にたどり着くのかもしれません。
- 生活者の声を聞くこと
- 生活者の声や行動の背景にある、感情や文脈、インサイトを理解しようとすること
- データではなく“人間”を見つめること
これらすべてが「認識の愛」です。
つまり、リサーチやインサイト発見の根底には“愛”が必要なのかもしれません。
関心がなければ理解・共感は生まれません。
そして思いやりがなければ、その理解はただの観察に終わります。
行動の愛:価値として返すこと
次に「行動の愛」。
それは、対象(生活者)にポジティブな影響を与える行動です。
定義:対象者にポジティブな影響を与える行動
判断基準:
- 対象者の幸福、安心、成長に貢献しているか
- 動機は参考になるが、最終的には影響が基準
例
- 愛:親が子どもを抱きしめる → 子どもが安心する
- 偶発的愛:善意の行動が結果的に相手を助ける
- 愛でない行動:自己中心、害を与える、形式的、操作的
再びマーケティングで言えば、
- 生活者の悩みや不満・未充足を解決する商品開発であること
- 価値観や感性に寄り添い、勇気や希望を与えるコミュニケーションであること
- 一過性の快感ではなく、持続的な幸福を届けるブランド体験であること
こうした行動が、生活者の幸福・安心・成長に貢献しているなら、それはまさに「愛のマーケティング」だと言えます。
逆に(耳が痛いですが)、
自己都合で行う売上目的の販売促進や、生活者を欲求を掻き立てるような過剰訴求は、愛のないマーケティングと言えます。
それは“伝える”ではなく、“押しつける”行為です。
認識の愛 × 行動の愛 × 対象者への影響
この2つの愛+結果を組み合わせて考えると、マーケティング活動は次のように整理できます。
| 認識の愛 | 行動の愛 | 生活者への影響 | マーケティングの状態 |
|---|---|---|---|
| あり | あり | あり | 理想的なブランド(愛される) |
| あり | あり | なし | 善意だが空回りする活動 |
| あり | なし | – | 机上の共感(理解止まり) |
| なし | あり | あり | 偶発的ヒット(結果オーライ) |
| なし | あり | なし | ノイズ的マーケティング |
| なし | なし | – | 無関心ブランド |
つまり、愛のあるマーケティング並びに愛されるブランドとは、「生活者への関心(認識)」と「行動(提供価値)」が一致し、結果として生活者にポジティブな影響を与えることなのです。
まとめ:愛のマーケティングとは何か
- 愛の認識=生活者への関心と思いやり
- 愛の行動=生活者にポジティブな影響を与える提供価値
- 最大の愛=認識あり+行動あり+価値あり
「愛のマーケティング」とは、生活者に関心と思いやりを持ち、そして価値として返す営み。
マザー・テレサさんが言うように、愛の反対は“憎しみ”ではなく、“無関心”です。
だからこそ、愛を持ってマーケティングをすることは、無関心の時代における最大の挑戦なのかもしれません。




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